大島公園海岸遊歩道を踏破 – 伊豆大島旅行(4)

島の東海岸を歩く「大島公園海岸遊歩道」

2022年5月の伊豆大島旅行、3泊4日の行程で、初日は夜に大型客船「さるびあ号」に宿泊。2日目は島中央の三原山登山。3日目は島の北東部を歩いた。ここまでの記録は下の3記事に書いた。

泉津の切り通しと波治加麻神社を散歩した後、東海岸沿いに整備された「大島公園海岸遊歩道」をハイキングした。泉津の神泉寺付近から行者浜まで約5.5kmの遊歩道だ。

大島公園海岸遊歩道地図
大島公園海岸遊歩道の全体図(クリックで拡大)

大げさなような気がしたが、前日の三原山登山と同じ服装(と靴)でハイキングにのぞんだ。これが正解だった。大島公園海岸遊歩道は「公園」の「遊歩道」という名称のイメージとは裏腹に、歩きごたえがあるトレッキングコースだった。

大島公園海岸遊歩道
冷えた溶岩がむき出しの笠松付近

気合を入れてスタートすると、いきなり出口に

大島公園海岸遊歩道の泉津側の入口は、泉津バス停から大島一周道路を大島公園方面へ徒歩3分程度、神泉寺の近くにある。赤い溶岩を積んだ火山の島らしい標だ。

いざ、ハイキング!と、ここから勢いよく海岸沿いに下りたらすぐに上り坂に。で、スタートしてほんの数分で、また自動車が走る大島一周道路に戻ってしまった。ちょっと拍子抜けした。

大島公園海岸遊歩道入口
大島公園海岸遊歩道の立派な泉津側入口
大島公園海岸遊歩道の出口
スタートして数分で再び大島一周道路に出た

気を取り直して大島一周道路を大島公園方面に向かうと、またも遊歩道の入口があった。自動車道と遊歩道を行きつ戻りつするのかな?と思ったが、ここから先は大島一周道路と交わる場所はなかった。

大島公園海岸遊歩道入口
再び海岸遊歩道の入口を入る

意外にもアップダウンが激しい

「海岸遊歩道」というとビーチ沿いに平坦な道が続き、サンダルで散歩したり、スニーカーでランニングする人々の姿が頭に浮かぶ。ところが、大島公園海岸遊歩道は、打ち寄せる波の近く(つまり海抜数mの場所)を歩くことはなく、海抜15〜50mの比較的高い場所を歩く。

そしてアップダウンが激しい。上り下りで息が切れそうになる。次の写真でコースの凸凹を理解いただけるはず。

大島公園海岸遊歩道
海抜10m以上の高台を歩く
大島公園海岸遊歩道
急な下り。木段上の土が流出して足元が悪い箇所あり
大島公園海岸遊歩道
きつい勾配の木製階段
大島公園海岸遊歩道
三原山から海に流れる水路の谷へ下りる場所も

繰り返しになるが、遊歩道というよりもトレッキングコースだ。できればトレッキングシューズ、低山用登山靴で歩くことを強くおすすめする。スニーカーだと必ず土で汚れてしまう。

オオシマハイネズ、クロマツ、海岸ならではの植物が

三原山登山ではオオシマツツジの真っ赤な花々が目を楽しませてくれた。同じ伊豆大島でも、山の上と海岸沿いではまったく植物相が違っている。大島公園海岸遊歩道では、オオシマハイネズ、クロマツ、ダンチクなどの植物が目に留まった。

一番印象に残ったのはオオシマハイネズ(大島這杜松)。伊豆大島で発見されたのでこのように命名された。匍匐性の常緑低木で、断崖を黄緑の小さな葉で這うように覆っていた。大島公園に近い笠松というエリアに群落があり、1951年にここは国の天然記念物に指定されている。

緑に覆われた崖と水平線のコントラストが目に焼き付いている。

オオシマハイネズ(大島公園海岸遊歩道)
笠松のオオシマハイネズ群落

ダンチク(暖竹)は別名ヨシタケ。川の河口で見るヨシに似ているが、ヨシよりも大きい。2〜4mの高さがあり茎も太い。潮吹というエリアではダンチクが左右に茂る中を進む。

ダンチクはオーボエやクラリネットといった木管楽器のリード部分の素材として使用される。土の中や水中から、砒素や重金属など汚染物質を回収する特性があるらしい。ただ「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されている植物でもある。

ダンチク(大島公園海岸遊歩道)
潮吹付近ではダンチクが繁殖

日本と韓国の海岸で自生するマツがクロマツ(黒松)。クロマツの大木はしばしば岩礁の岩の上に立っている。潮風に強いため防風林として植林され、浜の松原はたいていクロマツだ。

ちょうど開花シーズンで、大沢尻という場所では、空に向かって新しい枝をぐんぐんと背を伸ばしていた。

クロマツ(大島公園海岸遊歩道)
大沢尻付近のクロマツ

面白かったのは、林の中をフナムシが道を横切るところ。本州の山の中でフナムシに出合うことなんてないので、珍しい体験をした。

バラエティに富む遊歩道の風景

大島公園海岸遊歩道は海岸線沿いをひたすら歩くものの、海が眺望できる場所は意外に少なく、コース全体の20%程度だった(葉っぱが繁殖していない冬季はもう少し眺めがよいかもしれない)。

しかしながら、溶岩流の先端が行く手に現れたり、谷にかかる橋を渡ったり、目の前に突然海が開けたりと、風景はバラエティに富む。遊歩道のところどころに植物や地形の説明板があり、しばしば足を停めた。

大島公園海岸遊歩道
大島公園に近い高台。ここで小休止。房総半島がかすかに見えた
大島公園海岸遊歩道
巨大な溶岩流の先端が現れた
大島公園海岸遊歩道・金剛橋
谷に架かる金剛橋を渡るとゴールの行者浜は近い

泉津をスタートして1時間50分で行者浜に到着した。行者浜の南には険しい海食崖がそびえる。標高差約300mもある。

この崖の下には「役行者窟(えんのぎょうじゃくつ)」という洞窟がある。修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)がここで修行したと伝えられている。興味をそそられたが海食崖が崩落して危険なため、立入禁止だった。残念。

行者浜
手前が行者浜。奥が海食崖。

大島公園海岸遊歩道は行者浜までだが、海食崖の山の下にある行者海岸トンネルをくぐると、さらに南のメメズ浜、三太沢まで自然探索路が続いている。次に伊豆大島を旅する機会があれば、ぜひこの先を歩いてみたい。

行者浜で20分ほど休憩した後、大島公園まで上り坂を歩き、レストランで遅めの昼食を取った。


ヤマレコの登山記録

2022年春 伊豆大島旅行の記録
【1】早朝の元町港、源為朝の館跡と弘法浜を散歩
【2】三原山登山、活火山を実感
【3】泉津の切り通しと波治加麻神社を散歩
【4】大島公園海岸遊歩道を踏破
【5】サンセットパームラインをレンタサイクルで往復
【6】「地層大切断面」で地質への関心がムラムラ


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