早朝の元町港、源為朝の館跡と弘法浜を散歩 – 伊豆大島旅行(1)

天候次第で変わる伊豆大島の到着港

この2年ほど、コロナ禍で海外旅行に行けない分、伊豆諸島に出かけている。2021年秋に八丈島、2022年ゴールデンウィークに伊豆大島、そして今年3月、伊豆大島のすぐ南にある利島を訪れた。いずれも島登山が主目的。

10か月前のできごとではあるが、2022年の伊豆大島旅行の記録もブログに書き留めておく。なお、息子とのふたり旅だった。

さるびあ号の夜明け
さるびあ号のデッキから見る夜明け

伊豆大島へは東海汽船の大型客船「さるびあ丸」で出かけた。夜22時に東京・竹芝客船ターミナルを出航して、翌朝6時に伊豆大島に着く。さるびあ丸の船旅については下に詳しく書いた。

伊豆大島には元町港と岡田港、2つの客船ターミナルがある。その日の天候と風向きによって着岸する港が変わる。やっかいなのは、当日にならないとどちらの港に着くかが判明しないこと。

私は島中西部の元町港への到着だと思いこんでいたら、朝、船内放送があって、島北部の岡田港への着岸を告げられた。この日は朝8時半に元町港を発車するバスに乗って、三原山登山を予定していた。そのため、岡田港で下船後、すぐに公共バスで元町港に向かうことになった。

岡田港客船ターミナルの前には、元町港方面行きのバスが数台待機しており、乗船客の多くが次々と乗り込んだ。

伊豆大島岡田港
朝6時、岡田港で下船

早朝の元町港、ほとんどの店は開店前

元町港には20分ほどで着いた。時刻は朝7時前。まだ、ほとんどの商店や食堂が閉まっている。伊豆大島に24時間営業のコンビニはない。三原山頂口行きバスの発車時刻まで1時間半以上あるため、どこかで時間をつぶす必要がある。

まずは元町港客船ターミナルのロッカーに登山に必要のないものを預けて、息子の持ち物を私のリュックに集約。身軽になった。

ターミナルの外に1軒だけ営業している店があった。『おともだち』という名前の居酒屋風の魚料理店。昼食用の食料は昨夜、竹芝埠頭近くのコンビニで調達したが、朝食の用意はない。この店で腹ごしらえに焼き魚の朝定食を食べた。

食事を出て店を出たものの、8時半の三原山山頂口行きバス出発まではまだまだ時間がある。ターミナル内のショップも港周辺のカフェもまだ営業時間前だ。仕方なく近辺を散歩することにした。

伊豆大島・元町港客船ターミナル
早朝の元町港客船ターミナル。まだ誰もいない。

源為朝の館跡「赤門」と為朝神社を散歩

8時半の三原山山頂口行きバス出発まで、まだまだ時間があるが、ターミナル内のショップも周辺のカフェもまだ空いていない。仕方なく近辺を散歩することに。

Googleマップで港近くに「源為朝の館跡」という史跡を見つけた。

源為朝は源頼朝・義経の叔父にあたる武士。身長2mを超える大男で、剛弓使いの武勇が恐れられた。幼少の頃から乱暴者。一時九州に追放されたが、手下を集めて九州北部を制覇、鎮西八郎を名乗る。保元の乱に父・為義と共に敗れて捕らえられ、伊豆大島に流されたが、またも力に任せて伊豆諸島を支配。最終的に討伐され、この地で自害して果てた。

為朝の館跡へは客船ターミナルから数分で着いた。大通りを少し入ったところに、立派な朱塗りの門が見えた。

源為朝の館跡「赤門」(伊豆大島)
源為朝の館跡「赤門」

門のそばに案内板があった。

赤 門

 弓の名人といわれた鎮西八郎源為朝が、保元の乱に敗れて捕らえられ、大島へ流され住んでいた館の跡と伝えられる。後に代官屋敷となったところともいわれ、為朝のため特に許されたという格式ある朱塗りの門から通称「赤門」と呼ばれている。
 屋敷内には戦いに備えたという物見台、抜け穴などもあり、奥まった木立の中には「為朝神社(頭殿神社)」がある。

平成五年三月
大島町

赤門の隣には赤い屋根をした「ホテル赤門」がある。ホテルの前、南国の木が茂る細い参道を奥に進むと、為朝神社の鳥居と社が見えた。

為朝神社の参道(伊豆大島)
為朝神社の参道

源為朝にちなんだ為朝神社は、伊豆諸島のほか日本全国にあるが、この神社こそホームグラウンド(?)といえそうだ。

茅葺きの質朴な社に島の風情を感じる。息子と2人で柏手を打った。

為朝神社(伊豆大島)
為朝神社の社

ここにも案内板があった。

為朝神社(香殿神社)

 流罪となった為朝はその身柄を預けられた島代官藤井三朗大夫忠重の娘を妻とし、大島のみならず他の島々にまで勢力を張ったため、朝廷の命により為朝討伐の軍船が大島に攻め込んだ。
 為朝はこれを迎えうち一戦を交えるが衆寡敵せず、遂に自刃して果てる。
 以来八百余年、代々藤井家の氏神とし、また、その武勇をたたえる島民の信仰をあつめて現在にいたる。

河内の楠木正成、武蔵の畠山重忠のように、その後、郷土の武人として伊豆大島では親しまれているようだ。

なお、大島の女性と結婚して移住した本土出身の男性のことを、ここでは「ためともさん」と呼ぶらしい。

シーズンオフの「弘法浜」で時間をつぶす

8時半発の三原山頂口行きバスの発車時刻まで、まだ45分程度あった。元町港から400mほど南にあるビーチ「弘法浜」で時間をつぶすことにした。

夏は伊豆大島で一番にぎわう海水浴場で、トイレやシャワーのほか、無料の町営プールもある。火山灰ゆえ黒砂のビーチ。シーズンオフかつ早朝ゆえビーチに人影はなく、私と息子で二人占めした。

弘法浜(伊豆大島)
シーズンオフの弘法浜

ビーチの陸に近い場所では、ピンク色のハマヒルガオが満開。時折吹く海風に揺れる姿が印象的だった。

弘法浜のハマヒルガオ(伊豆大島)
弘法浜のハマヒルガオ

20分ほどビーチでまったりと過ごした後、元町港のバス停に向かった。

2022年春 伊豆大島旅行の記録
【1】早朝の元町港、源為朝の館跡と弘法浜を散歩
【2】三原山登山、活火山を実感
【3】泉津の切り通しと波治加麻神社を散歩
【4】大島公園海岸遊歩道を踏破
【5】サンセットパームラインをレンタサイクルで往復
【6】「地層大切断面」で地質への関心がムラムラ


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