書評・感想文

藤野可織『爪と目』
『爪と目』については、Amazonのレビューや書評サイトで「ホラー小説」「怖い物語」といった感想を断片的に目にしていた。そのため、単行本を買って数ヶ月、読み始めるのをちゅうちょしていた。心に余裕があるときに読もう、と。 先週、ようやく単行本 ...

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古川真人『背高泡立草』
2020年、第162回芥川賞受賞作『背高泡立草』。Amazonのレビューを見ると今ひとつ評価が高くなかったので、あまり期待していなかったが、読み進むにつれて作品の世界に入り込んだ。こと文芸に関して、Amazonレビューは参考にならないと改め ...

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庄野潤三 小説『プールサイド小景』
短編10作を読んで後、受賞作へ 庄野潤三氏の短編小説『プールサイド小景』は1954年下半期、第32回芥川賞受賞作。 庄野潤三氏の小説を読むきっかけは、村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』で、短編『静物』を知ったこと。『静物』のほか、『 ...

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山下澄人 小説『しんせかい』
芥川賞を受賞した小説を読み始めて、ちょうど50作目。2020年4月に文庫本が電子書籍化されたので、山下澄人氏の『しんせかい』を買った。第156回、2016年下半期の受賞作だ。 以下、あらすじ。 高倉健やブルース・リーに憧れる、役者志望の主人 ...

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吉村萬壱『ハリガネムシ』
数年前に、電子書籍リーダーを購入後、芥川賞受賞作をずいぶんと読んだ。芥川賞受賞作には、いくつか性格のカテゴリーがあるように思う。「ヒトの暴力性と獣性」を描いた作品群はは一つの傾向だろうか。 吉村萬壱の『ハリガネムシ』は「ヒトの暴力性と獣性」 ...

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高樹のぶ子『光抱く友よ』

著者が芥川賞を受賞した1980年代半ば、“陰のある美しい中年女性”という雰囲気のポートレートに惹かれ、ずっと気になる作家ではあった。数年前、映画化された『透光の樹』は観たが、小説を読むのは初めてだ。現在68歳とは! まぁ、当時10代の私が5 ...

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青山 七恵著『ひとり日和』

昨年から、小説は過去の芥川賞受賞作ばかり読んでいる。手当たり次第読むにも、なんらかの選択基準があった方が買いやすい。特に電子書籍の場合は。というわけで、深く考えることなく2006年下半期の第136回芥川賞受賞作、青山七恵『ひとり日和』をダウ ...

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町田康『きれぎれ』

きれぎれ(文春文庫)著者/町田康発行/文藝春秋 第123回(2000年度上半期)芥川賞受賞作。大阪生まれ、パンク歌手・詩人・俳優でもある町田康によるハチャメチャ小説。 小金持ちのぐうたら息子で絵描きの主人公の趣味はランパブ通い。浪費家で夢見 ...