新年度の名刺が配られた—役割が変わり、仕事の進め方も変える
所属と役職の情報を整える
新年度に入り、先週、新しい名刺が配られた。組織と役職が変わったため、メールの署名を更新し、名刺管理サービスのSansanやEightにも新しい情報を登録した。さらに、Slackのプロフィールも書き換え、社内外に向けた所属や役職の情報を一通り整えた。
こうした作業は一見すると事務的だが、実際には小さくない意味を持つ。名刺、署名、プロフィールといった情報が一致していることで、相手に対して自分の立場や責任範囲が明確に伝わる。異動直後は、こうした整合性が取れていないだけで、無用な確認やすれ違いが生まれる。最初に揃えておくことは、仕事の質に直結する。
組織を言葉にして渡す
それから、Web・アプリの開発パートナーとの新年度最初の定例ミーティングで、部門の組織図とスタッフの役割分担を、冒頭で説明した。誰が意思決定を行い、どこに相談すればよいのか。どの範囲までが各担当の責任なのか。そうしたことは、社内では暗黙の了解でも、外から見れば不透明である。その見えにくさを、最初に取り除いておく。結果として、その後のやり取りはずいぶんと滑らかになる。
考えてみれば、こうした一連の動作は、毎年繰り返してきた習慣でもある。しかし来年の三月で定年を迎える身としては、おそらくこれが最後の「新年度対応」になる。そう思うと、これまで当たり前に行ってきたことが、少し違った重みを帯びて感じられる。

上る違和感と、手渡す視点
今年は一つ誤算もあった。職務のレイヤーが一段上がったことである。本来であれば、静かに下りの準備に入ろうと考えていたところ、逆に一段上に乗ってしまった感覚がある。エスカレーターで降りていくつもりが、ふと気づくと上りに切り替わっていたような、そんな戸惑いだ。
ただ、よく考えてみると、この変化は単なる負荷の増加ではないのかもしれない。むしろ「どこまで自分が関わり、どこからを委ねるか」を設計する余地が広がったとも言える。残り一年という時間の中で、すべてを抱え込む必要はない。判断の軸や関係性を整え、次に渡せる形にしていく。そのための視点を与えられたと考えれば、この役割にも意味が見えてくる。
名刺は、単に連絡先を記した紙ではない。そこには、その時点での自分の立場と、周囲との関係のあり方が凝縮されている。新しい名刺を手にしたとき、そこに書かれた肩書き以上に、「これからどのように仕事をしていくか」が問われているのだと感じた。
最後の一年も、特別なことをするつもりはない。ただ、これまで通り、情報を整え、関係を整え、仕事の流れを整える。その積み重ねが、結果として次の人へと手渡されていく。新しい名刺を見て、改めてその始まりを実感した。










