35年ぶりのゼミ―実現可能性を外して考える

緊張の中で始まったゼミの時間

 今日は初めてのゼミだった――正確にいえば、一度目の大学生時代以来、35年ぶりのゼミである。eスクールのゼミは、ZOOMで行われる。時間は19時から20時40分までの100分。画面越しとはいえ、開始前は少々緊張していた。少人数のゼミであることは事前にわかっていたが、それだけに一人ひとりの発言の比重は大きい。

 初回ということで、自己紹介に加えて、このゼミに興味を持った理由、研究してみたいテーマについて、簡単なスライドを用意して説明した。仕事では日常的にプレゼンテーションを行っているものの、「研究テーマを語る」という行為は勝手が違う。少々気恥ずかしさもあった。

 しかし、大学の醍醐味はゼミだ。3年目にして、ようやくここにたどり着いたという実感がある。

「実現可能性」を外したときに見えるもの

 印象に残ったのは、先生からのアドバイスだった。「最初から実現可能性を探るのではなく、お金や時間に制限がなければ何をやりたいかをまず考えること」。そして、その後で現実に向けて絞っていくのがよい、という。

 これまでの仕事や日常の意思決定では、どうしても実現可能性を起点に考えてきた。限られた時間と予算の中で、いかに効率よく成果を出すか。その発想は身についている。しかしその延長で研究テーマを考えると、どうしても問いは小さく、無難なものに収まりがちになる。

 今回の指摘は、その前提を一度外すものだった。まずは制約を取り払い、自分が本当に知りたいこと、解き明かしたいことをそのまま置いてみる。研究とは、現実に合わせて問いを縮める作業ではなく、むしろ問いの核を保ちながら現実に接続していく営みだろう。そのように考え直した。

社会人ゼミという場の面白さ

 今シーズンのゼミのもう一つの特徴は、そのメンバー構成にある。先生と教育コーチに加えて、博士課程の院生が一人、そして社会人学生が3人、合計6人だ。さらに社会人学生も、この秋に卒業する4年生、来春に卒業予定の4年生、そして3年生の自分と、進度がばらばらである。

 一見まとまりがないようにも見えるが、意外に面白い。同級生がいない代わりに、研究の時間軸がそのまま場の中に存在している。これからテーマを深めていく段階、まとめに入っている段階、その両方が同時に見える。

 後半は、先生の研究テーマをもとに、ビジネスとしての可能性について自由に討論する時間となった。前半よりもこちらの方が活発で、議論も盛り上がった。社会人が多いこともあり、研究をそのままにせず、どのように社会と接続するのかという視点が自然に持ち込まれる。

 研究と実務が往復する場。その中で、自分の関心もまた、単なる興味にとどまらず、どのような価値につながるのかという問いへと広がっていく感覚があった。

 次回は、いきなり私が発表する番となる。自分の研究テーマを、少し大きな枠組みで提示してみたいと思う。

大学と学び

Posted by Asanao