雪の日の成田山新勝寺参詣―40年越しの初参拝
成田を初めて訪れたのは十八歳のときで、もう四十年ほど前になる。以来、成田国際空港から海外旅行や海外出張に出かけるたびに、何度となく成田の街に立ち寄り、宿泊もしてきた。しかし不思議なことに、街の象徴ともいえる成田山新勝寺を訪れたことが一度もなかった。二月、ふと思い立ち、今度こそ参拝してみようと成田に出かけた。
訪れたのは2月7日と8日。関東平野にまとまった雪が降った土日で、境内は雪化粧をしていた。
雪に包まれた境内の静けさ
まず印象的だったのは、人の少なさである。普段の成田山は参拝客や観光客でにぎわうが、この日は境内に静けさが広がっていた。雪を踏む足音だけが響くような空気の中で、ゆっくりと堂宇を眺めることができた。
白い雪が瓦屋根にやわらかく積もり、朱塗りの建物との対比が際立つ。色彩が抑えられることで屋根の曲線や建築の線がくっきりと浮かび上がり、まるで水墨画を見ているような景色である。雪をいただいた堂宇の大屋根を眺めていると、冬の寺院ならではの静かな美しさを感じた。
護摩の炎と平和大塔の不動明王
大本堂では護摩祈祷に参加した。堂内は外の寒さが残るような冷たい空気だったが、護摩の炎が上がると空間が一気に引き締まり、荘厳な雰囲気に包まれる。私は健康祈願をお願いした。太鼓や読経が響く中で炎を見つめていると、心が静かに整えられていくような感覚があった。
その後、成田山平和大塔にも入った。内部には江戸時代から続く成田山信仰の歴史が紹介されている。二階の明王殿では、大塔の御本尊である不動明王と四大明王が安置されており、間近で拝することができた。
梅の気配と参道のうなぎ
境内の梅園では、ちょうど梅がほころび始めていた。枝先の花に雪がシャーベットのようにかかり、白い雪と淡い梅の色が重なり合う。冬の静けさの中に、春の気配が少しだけ混じるような光景だった。
参拝を終えたあと、表参道の老舗「駿河屋」に立ち寄った。一番グレードの高い「特選うな重」(6,600円)を注文する。雪の日の参拝のあとにいただく温かいうなぎは格別で、香ばしい香りとふっくらした身が冷えた体にしみわたった。
雪の静けさ、護摩の炎、そして梅のほころび。冬の名残と春の兆しが同時に感じられる、印象深い成田山参詣の二日間だった。



















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