大地の芸術祭・津南の3作品『Melting Wall』『記憶―記録』『国境を越えて』

『大地の芸術祭』、最果てのパブリックアートへ

2018年夏に『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』に初めて訪れてから、常設のパブリックアートを見に、度々、新潟県十日町市・津南町のに足を運ぶようになりました。大地の芸術祭は、瀬戸内国際芸術祭と並ぶ地域芸術祭のパイオニア。詳細は以下のリンクをご覧ください。

『大地の芸術祭』公式サイト

3年に一度のトリエンナーレということで、今年2021年夏の開催を楽しみにしていたのですが、コロナ禍の影響で延期の発表がありました。残念。

ただ、約200点のパブリックアートが十日町市と津南町広大なエリアに点在し、密を避けて鑑賞できるので(いつどこに出かけても、たいてい貸し切り状態)、当面、常設のアートを楽しむことにします。

さて、先週土曜、広大なエリアの中でも“果て”にある津南町のパブリックアートを見に行きました。最果て3作品のレポートを。

Melting Wall 作:本間純

「日本の秘境100選」に選ばれている秋山郷・結東。廃校になった中津峡小学校の分校のプールに設置された作品です。とにかく遠い。津南町の役場から車で30分以上、渓谷を走り抜けてたどり着くことできました。

本来、プールに水が貯められ、水面に写り込んだ周囲の風景とオブジェが揺らめく姿が、この作品のポイントと思われます。残念ながらプールの水は抜かれていたものの、ガラスのオブジェには水が流れていました。桜の木を通して見える流水の壁が、不思議な雰囲気を醸し出していました。

秋山郷・結東は桃源郷のような美しい山村。次回はぜひ、この地に宿泊してみたい。

結東集落の古民家

「Melting Wall」の作品データはこちら(大地の芸術祭 公式サイト)

「記憶―記録」足滝の人々 作:霜鳥健二

十日町と津南を結ぶメインルート・国道117号線から信濃川に架かる上郷橋を渡ったところにある作品。信濃川を見下ろすように設置されている。

2006年に足滝集落で作品を制作した美術作家・霜鳥健二氏が、住民の等身大のシルエットをモチーフにしたもの。住民一人ひとりの姿勢や特徴をつかみ、大地に立つ姿として表現しています。近くで見ると、魂が吹き込まれているかようなリアリティを感じました。

すぐ下を流れる雪解け水をたたえた信濃川の眺めが素晴らしかった。

雪解け水が流れる青い信濃川

『「記憶―記録」足滝の人々』の作品データはこちら(大地の芸術祭 公式サイト)

国境を越えて 作:林舜龍

『「記憶―記録」足滝の人々』から数キロメートル北上した、穴山集落の広場に設置された作品。作家は台湾出身の林舜龍(リン・シュンロン)氏。

門を真ん中にして、ブロンズの水牛の牡牛と子牛(?)が向かい合うように立っています。台湾では、質素な家でも門だけは立派に造られるほど重要な「顔」であり、水牛は台湾の農業では象徴的な存在。

門の上部には台湾の伝統工芸、交趾焼きによる鮮やかな陶俑が本来見られるのですが、公開時期でないため、水牛も門もブルーシートで覆われてしまっていました。ブルーシートで覆われた水牛は、現代アートに見えなくもない。

ブロンズの水牛
門の真ん中は長方形の空間があり、2匹の水牛がお互いを見ている

『国境を越えて』の作品データはこちら(大地の芸術祭 公式サイト)