作家・城山三郎の死去に想う

城山三郎氏が79歳で亡くなりました。彼の小説は大好きでした。読んだ後、いつも「男たる者」について考えさせられる小説でした。

最初の読んだのは『零からの栄光』、高校生の頃、国語の課題図書だった気がします。第二次大戦末期、アメリカのグラマン戦闘機に対抗できる新型戦闘機「紫電改」、この開発に関わったエンジニアと、戦後の水上飛行艇開発についてのドラマ。太平洋戦争の小説は、戦地や政治がテーマのものがほとんどの中で、 当時の「会社員」の視点で戦前・戦後を描かれいたのが新鮮でした。

あえて一冊を選ぶと、『落日燃ゆ 』でしょうか。元総理大臣、極東軍事裁判でA級戦犯として、唯一絞首刑に書せられた広田弘毅が主人公。文官として、戦争回避に努めながら、黙して戦争責任を取った姿は、公人の「責任の取り方」ということで、深く考えさせられます。

近現代の舞台が多い氏の作品の中で、異色が『秀吉と武吉―目を上げれば海 (新潮文庫)』。戦国時代、瀬戸内の村上水軍の首領、村上武吉が主人公。戦国時代の歴史小説の中で、水軍の合戦シーンはあまり見られませんが、村上水軍の織田軍への奇襲シーンが圧巻。秀吉の市場自由化政策と、瀬戸内の海上交通権益を守る武吉、現代日本にも通じるテーマです。

城山三郎の後ろにつながる作家って……いないなあ。

蛇足ですが、 城山三郎の小説って、「エスタブリッシュな財閥系会社の部長が、大手町への通勤時にブックカバーのついた文庫本を読んでいる」ってイメージがあります。


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