下山後の一杯のために—プリムスのバーナー P-153がつくる時間

軽くて小さい。それでいて十分に火が強い

 プリムスの「P-153 ウルトラバーナー」を使い始めて、5年ほどになる。登山はたいてい一人で行く。そのため、持っていく道具もできるだけ軽量にしたい。

 P153は、ガスカートリッジの上に直接取り付けて使用する、小型のシングルバーナーだ。いわゆる一体型の構造で、折りたたむと手のひらに収まるほどコンパクトになる。重量は100g台と軽量でありながら、火力は強く、短時間で湯を沸かすことができる。

 ゴトクは3本で安定性があり、小型のクッカーであれば問題なく使用できる。点火装置も備わっており、ライターなどを別に用意しなくても火をつけることが可能だ。構造自体はシンプルで、メンテナンスの手間も少ない。登山用バーナーとして必要な要素が、無駄なくまとめられている。

使っているうちに見えてくる、扱いやすさ

 実際に使ってみて感じるよさは、スペックとは少し違うところにある。

 ひとつは、火をつけてからお湯が沸くまでの速さである。数字としての火力ではなく、「もう沸いたのか」と感じる体感の速さがある。早春や晩秋、山を歩き終えた後には、この速さがありがたい。

 もうひとつは、小さくまとまることだ。折りたたむと財布よりも小さなサイズになり、「持っていくかどうか」を迷うことがない。道具としての存在感が強すぎないので、自然に使い続けることになる。

 そして、扱いやすさである。組み立てや火加減に気を遣う場面がほとんどなく、いつも同じように使える。操作に意識を取られず、気がつけば手が動いている。使い勝手もよい。

山を歩き終えたあとに飲む一杯のために

 最近では、このバーナーは車に積みっぱなしにしている。登山口の周囲には、カフェやコンビニがないことが多い。ザックを下ろして、靴を履き替える。そのあとでバーナーを取り出し、クッカーに水を入れて火をつける。写真のような簡単な準備だけで、すぐにお湯が沸く。

 コーヒーは、あらかじめ挽かれた豆を持っていくことが多い。手間をかけすぎず、それでも味はきちんと確保する。

 山の上で飲むコーヒーもいいが、歩き終えたあとに飲むコーヒーには、少し違う意味がある。一日の区切りのような、やり遂げた満足がある時間だ。湯気とともに立ち上る香りを吸い込むと、身体の力がゆっくりと抜けていく。

 このバーナーは、そういう時間をつくる道具だと思う。

プリムス「P153 ウルトラバーナー」
出力:4.2kW/3,600kcal/h(T型ガス使用時)
ガス消費量:245g/h
燃焼時間:約55分(IP-250タイプガス使用時)
ゴトク径:大148mm/小90mm
収納サイズ:7.5×8.8×3.0cm
本体重量:116g

暮らし登山

Posted by Asanao