59歳を迎えて。還暦へのシフトチェンジ
59歳になった。60歳まで、ちょうどあと一年だ。
会社員としての定年退職、大学では3年生としてゼミに所属、そして住宅ローンもあと一年で完済する予定だ。偶然とはいえ、いくつもの節目が同時に近づいている。これまでのキャリアを振り返りながら、今後の時間をどう使うべきかを考える一年になりそうだ。
誰もが若い頃、60歳という年齢ははるか遠い地点にあるように感じていたはず。しかし実際にその手前まで来てみると、「ゴール」という感覚はあまりない。むしろ、生活の構造が少しずつ変わり始める、いわばギアを入れ替える瞬間に近い気がしている。これからの一年を「還暦へのシフトチェンジ」と位置づけて過ごしてみたい。
会社員の時間から、自分の時間へ
これまでの人生の大部分は、会社員としての時間だった。平日は仕事を中心に一日が組み立てられ、役割や責任、評価の枠組みの中で働いてきた。それはそれで充実した時間だったが、定年が近づくにつれて、生活の中心軸が少しずつ変わりつつあることを感じる。
定年後には、役職や役割といった外側から与えられる枠組みは薄れていく。その代わりに重要になるのは、「自分は何に関心を持ち、どのようなテーマを考え続けたいのか」という内側の問いだろう。
私の場合、大学で学び直していることもあり、関心は自然と認知科学やメディア、エンターテインメントの体験価値といった領域に向かっている。会社員としての仕事が終わったとしても、こうしたテーマを考え続けることはできるし、むしろそこから新しい活動が生まれる可能性もある。
この一年は、「会社員としての役割を終える準備」というより、「自分のテーマを中心に生きる時間へ移行する準備」の期間とも考えている。
学生としての時間をもう一度大切にする
同時に、大学生活も新しい段階に入る。3年生となり、ゼミに所属することになった。授業を受けるだけの段階から、自分で問いを立て、考え、議論する段階へと進む。
一度目の大学生活では、正直なところ、そこまで深く学問と向き合っていたとはいえない。しかし社会人として長い時間を過ごしたあとに学生に戻ると、学びの意味がまったく違って見える。知識を覚えることよりも、「問いを持つこと」そのものの面白さを感じるようになった。
ゼミは、その意味で重要な居場所になるだろう。
何を研究するのか、どのような問いを立てるのか。まだぼんやりとしているが、この一年は論文を読み、考え、少しずつ自分の関心の軸を見つけていきたいと思っている。
定年退職というできごとだけを見ると、「ひと仕事を終える年」と捉えがちだ。しかし大学に通っている身からすれば、むしろ「研究を始める準備の年」と言ったほうがしっくりくる。
暮らしのギアを一段ローへ
もう一つ、この一年で意識したいのは、人生の重心を少し静かな方向へ移すことである。会社ではどうしても、成果や評価、役職といった指標が日々の判断基準になる。しかしそれらは会社という制度の中で意味を持つものであり、人生そのものの価値とは必ずしも一致しない。
60歳が近づくにつれて、「何を達成したか」よりも、「どのような時間を過ごしているか」が大切になってくる気がする。急いで何かを成し遂げるというより、考え続けること、学び続けること、そして自分なりに納得できる形で時間を使うこと。そのほうが、これからの人生には合っているように思う。
住宅ローンが終わり、会社員としての役割も一区切りを迎える。生活の基盤が少し軽くなる分、時間の使い方の自由度は確実に増えるだろう。その自由を、慌ただしい活動で埋めるのではなく、ゆっくりと考える時間に使ってみたい。
59歳という年齢は、人生の終盤というより、むしろ「次の生き方の設計図を書き直す年齢」なのかもしれない。あと一年で還暦。焦らず、しかし少しだけ意識的に、人生のギアを入れ替えていこうと思っている。











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