東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス―余韻は街で決まる
5月にオープンする東京建物 ぴあ シアター&カンファレンスの内覧会に出かけた。勤務先の社名であり、私が関わる媒体名を冠したホールだけに、思い入れが強くなる。もっとも、まだこの劇場で実際の公演を観ていない以上、舞台そのものについて語ることはできない。今回、強く印象に残ったのは、むしろそれ以前、そしてそれ以後の体験――すなわちアクセスである。
ターミナルに埋め込まれた動線
この施設は、東京駅の地下動線(八重洲地下街)からそのまま接続されている。改札を出て地上に上がることも、信号を渡ることもない(地上からアクセスすることも可能)。都市の流れの中に、劇場がそのまま組み込まれている。
もちろん、地下接続という意味では例外ではない。東京国際フォーラムは有楽町駅から地下で直結しているし、東京芸術劇場も池袋駅から地下でアクセス可能である。ただ、前者はターミナルである東京駅からは少々距離がある。後者は地下動線が存在するものの、経路がやや分かりにくく、結果として地上から向かう人が少なくない。
距離そのものではなく、「迷わず、途切れずにたどり着けるか」。その意味で、今回の施設は、ターミナルの中に自然に溶け込んだ立地を感じた。
終演後に訪れる現実
劇場体験は、開演から終演までの時間だけで完結するものではない。むしろ、終演後にどのような空間へと戻るかが、その日の印象を決める。音響に優れたホールとして知られるサントリーホールやすみだトリフォニーホールに足を運ぶたび、そのことを実感する。
演奏の余韻に浸りながらホールを出ても、地下道を抜けて乗り込む混雑した車内や、錦糸町の雑踏の中に身を置いた瞬間、現実へと引き戻される。非日常は、そこで断ち切られてしまう。
八重洲の都市空間が担う余韻
その点、今回の施設が接続する東京駅八重洲側の都市空間は興味深い。丸の内側の歴史的景観とは異なり、近年再開発された高層ビル群が連なっている。ガラスと光に満ちたインテリジェントビル群は、単なるオフィス街ではない都市空間を形成している。重要なのは、ここで余韻が“保持される”という点ではないか。劇場の外に出ても、体験はまだ続くのだ。
劇場はどこにあるべきか。これまで、アクセスや集客の観点で語られることが多かった。しかし立地とは、本来、体験の終わり方を設計する要素でもある。そのことを示すことができる劇場になってほしい。