定年まであと一年。仕事を「ていねいにする」という選択
3月31日、年度末。仕事の2025年度が終わった。会社員としての残り時間は、2027年3月末の定年まで、ちょうどあと一年だ。
この一年をどう過ごすか。胸に手を当てて考えると、大きな成果を上げることよりも、一日一日の仕事をていねいに積み重ねていきたい、という気持ちが強い。
これまでのキャリアを振り返ると、特に40代以降は速度や成果を意識してばかり走ってきた。最後の一年は、少し違う姿勢で仕事に向き合いたいと思う。心がけたい姿勢5つを挙げてみた。
1. 速さから精度へ重心を移す
これまでの仕事では、なるべく速く判断し、目に見える成果が求められる場面が多かった。もちろんそれは今も重要だが、残りの一年は、少しだけ重心を変えてみたい。
- 会議での発言を一つ減らし、その分、質を高める
- メールや文書を、一度見直してから出す
- 判断を急がず、「なぜそれをやるのか」を立ち止まって考える
どう考え、どう処理したかに意識を向ける。そのような仕事のスタイルに、あえて切り替えたい。
2. 仕事を「痕跡」として残す
もう一つ意識したいのは、仕事を「やって終わり」にしないことである。この一年は、自分が関わった仕事の痕跡を、意識して残していく。
- 案件の意思決定の背景を言語化する
- 若いスタッフに対して「やり方」ではなく「考え方」を伝える
- 自分なりの判断基準や優先順位の置き方を整理する
単なる引き継ぎではなく、「思考の形」を残すこと。それが、組織にとっても、自分自身にとっても意味のある仕事になるはずだ。
3. 人との関係を整える
仕事の終わりが見えてくると、人との関係のあり方も少し変わって見えてくる。この一年は、関係を整える時間にしたい。
- 長く関わった人に、短くても一言を添える
- これまであまり話してこなかった他部門の同僚とも対話してみる
- 「仕事として」ではなく「個人として」話す時間を持つ
仕事の成果は組織に残るが、関係性は人の記憶に残る。そこに意識を向けておくことは、これからの時間にもつながるだろう。
4. 次の時間へつながる働き方をする
大学での学びを中心に、仕事以外の軸が育ちつつある。この一年の仕事は、それらと切り離すのではなく、むしろ接続していくことを意識したい。
- 日々の業務を「観察対象」として捉える
- 組織や意思決定を、認知科学の視点で見る
- 気づきを短くメモし、後の研究に活かす
働きながら考え、働きながら書き記す。そのような状態を意識することで、仕事の時間そのものが次の時間の準備になる。
5. 一日の終わりに、小さく振り返る
最後に、最もシンプルな習慣を大事にしたい。毎日の終わりに、その日の仕事を静かに振り返る。
- 今日の判断は誠実だったか
- 今日のコミュニケーションはていねいだったか
- 今日の仕事に、自分なりの納得はあるか
この問いを繰り返すことで、「ていねいに仕事をする」という感覚が、具体的なかたちを持ち始めるだろう。
残り一年。これは単なるキャリアの締めくくりではない。働き方の純度を高めていく時間にしたい。
その積み重ねが、定年後の時間の質にも、そのままつながっていくはずだ。