感想/村上春樹インタビュー集1997-2011

2023年4月15日

村上春樹夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011

タイトルが長い。『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011』。

村上春樹のインタビューを集めた一冊。インタビューに応じることが極めて少ないという彼、希少価値が高い分、いずれも濃縮された読み応えある内容だった。

インタビューは、作品でいうと『アンダーグラウンド』から『1Q84』発売直前までに行われたもの。なので、掲載メディアの特性上、1997年から2011年までの小説について語られているケースが多い。

日本のメディアだけでなく、海外メディアのインタビューも多数掲載、ロシア、台湾において「彼の小説がこのように読まれているのか」がうかがえ、なかなか興味深かった。

村上春樹の小説はほとんど読んでいるが、私の脳裏にストーリーが鮮明に残っているのは1990年代の作品まで。『羊をめぐる冒険』や『蛍』『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ノルウェイの森』あたりは、ディテールを語り尽くせるほど読み込んでいる。

けれど、『スプートニクの恋人』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『アフターダーク』あたりになると、登場人物の名前(特に重要な役割りを果たす女性)が作品が一致しない。

その点、このインタビュー集では、作品の登場人物の固有名詞が頻繁に現れるため、どんなキャラクターだったろうか?と、あいまいなまま読み進めざるを得なかったのが残念。

感受性豊かな若いころにじっくり読むのと、通勤時間に読み進めるのとでは、「記憶への焼付け」という点で違うのかもしれない。

物忘れという点で、最近、本当に危機感を覚えている。村上春樹だけでなく、村上龍、吉本ばなな等、大好きな作家の小説であるのに、以前に読んだかどうか記憶があいまいなのだ。実はこの本、以前に単行本を購入していた。本棚に入れて、買ったことを忘れてしまったのだろう。文庫本を読み終えて本棚に入れようとすると、単行本の背表紙を発見した。

読書は素晴らしい体験だ。だけど、その記憶が喪失していくことのは絶望的な気分になる。いやはや。


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