庄内旅行- 土門拳記念館で「こどもたち」に会う

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土門拳記念館
江戸時代、庄内地方の商業都市であった酒田は、いろんな史跡が残っており、見どころが多い。ただ、今回は出羽三山に出かけたいモードなので、酒田の街なかの観光スポットは巡らなかった。

ただ、一か所、どうしても訪れたい美術館があった。土門拳記念館だ。ここは、日本の地方都市で、一写真家にスポットを当てた美術館としては、鳥取県の植田正治写真美術館と双璧をなす存在だと思う。

写真家としては、“ありのままのリアリティ”を追求した土門拳、“構造の美学”を追求した植田正治は対極の存在。だが、二つの美術館は実際に訪れると共通性を感じた。一人の写真家にスポットを当てたコンセプトはもちろんだが、米子(実際には岸本町)と酒田という日本海側の古くからの商業都市にあること。背景として大山、鳥海山が一体化した建築であること。コンクリートの無機質な人工美と周囲の自然を対比させていることなどが挙げられる。

実際、帰りがけ、鳥海山の方向から美術館に白鷺が舞い降りて、館内をおもむろにのぞきこむ様子に見とれてしまった。大都市の美術館にない素敵な光景だ。

土門拳記念館
ちなみに、下は2012年夏に訪れた植田正治写真美術館。

植田正治写真美術館
さて、土門拳は私の中で「筑豊のこどもたち」「ヒロシマ」等の社会派リアリズムの作品群、「東大寺」「薬師寺」等の奈良の寺院、仏像を撮った作品群のイメージが強い。

今回、メインの企画展「古寺巡礼 ―第1集より―」では、法隆寺、中宮寺、薬師寺の仏像を真正面から捉えた重厚な作品群が展示されていた。だが、その脇で展示されていた「こどもたち」の作品に私は見とれてしまった。

1940~1950年、私の両親の幼少時代、地方や下町のいきいきとした子どもの表情は、一枚一枚、10分も20分も見つめていたいほどだ。下はミュージアムショップで購入した絵葉書より。

左/小河内村 傘を回す子供(1935年頃) 右/江東のこども 近藤勇と鞍馬天狗(1955年)

土門拳「こどもたち」
左/神田っこ(1953年) 中/しんこ細工 浅草雷門(1954年) 右/江東のこども とかげ(1955年)

土門拳「こどもたち」
一方、企画展示室では、第33回土門拳賞を受賞した桑原史成の作品展「不知火海 The Minamata disease Disaster」が行われていた。桑原史成は1960年から半世紀以上に渡って、水俣病事件を追いかけているフォトジャーナリスト。

小学生の頃、社会の授業で、教科書で見た「水俣病」で父親に抱かれる少女の写真に衝撃を受けた。悪ガキ男子たちは休憩時間、少女の表情を真似て遊んでいたことを鮮明に覚えている。「智子」という少女で、彼女が成人式を迎える写真があり、その年、21歳で彼女は亡くなったという。

近年、1950~1960年代、高度経済成長期の日本を、「あの頃はよかった」とノスタルジックに思いを馳せる風潮が目につく。しかし、東大阪の工場街で育った私が小学生の頃、近所の川は六価クロムで汚染されたようなドブ川で異臭が漂い、工場の煤塵が飛び、ぜんそくが当たり前の環境だった。あの頃に比べると、劇的に日本の環境は改善されたと思う。

そんな子供時代を思いつつ、土門拳記念館を後にした。

土門拳記念館

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